ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準

 平成16 年には安全評価基準が制定されていたが、最初に作られた時期について調査出来ていない。平成16年の半にはすでに再突入に関する記事がある事から、其れ以前の「再突入」に言及して居ない版が存在していた事が推測される。

 平成21年8月24日の第6回安全部会で、安全評価基準の改訂が行われた。改訂を見え消しで示したものは此処から開く事が出来る。此の時の改訂は、「再突入」に関する記述の変更であるが、宇宙ステーション補給機(HYV)の初号機の再突入を評価する上で、表現を修正する必要があった為だと推測する。

 その後、平成22年11月4日の第5回安全部会で再び改訂が行われた。此の時の改訂は保安距離設定の根拠として居た米国の基準が改定された事に伴うもので、付表が差替えられると共に、液体推進薬保管中の保安距離短縮を許容する付記が付け加えられた。改訂を見え消しで示したものはここから開くことができる。


 最新版である平成22年11月4日版を文科省ホームページで探したが見付からなかった。そこで、第5回安全部会の配布資料を基に「安全評価基準」を推定し、改訂後の「安全評価基準」に解説を加えたものを作成した。


 解説で主張したかった最大のポイントは、打上げ機の上段(衛星投入段)を再突入させ、デブリの削減を図る事に対し、安全部会での評価の対象から外すのを糺す事である。狭義の安全(地上への落下物が他国の資産に危害を及ぼす事を防止する)を侵す確率は極めて低いものの、広義の安全(我が国の意図を曲解し、外交手段を以て非難する事により、我が国の国際的地位を貶めようとする事から身を守る)が侵される事は大いに考えられるからである。